副園長の子育て応援通信

「スーパーキッズ?」

幼稚園では毎日いろいろな出来事が起こります。

大きなトンボが保育室に入ってきました。子どもたちは、すかさずトンボを狙います。トンボはどうやら保育室内のハエを狙って入ってきた様子。「トンボはハエを食べるんだ・・・。」ハエが何匹もいるけど「どこからきたんだろう」「なんでこんなにいるんだろう」と次はハエの種類や生態を調べ始める年長ゆり組の子。

年少くま組でのやり取りです。「おじいさんがやってきました」とある子が言うと、「ねこがきました」と隣の子・・・。「かぶをうえました」とほかの子。何人かで「うんとこしょどっこいしょ!」担任が「かぶはぬけたの?」と聞くと「ぬけない・・・」違う子が「にんじんたべてげんきをだしました」すると「まだげんきがでないからおにくをたべました」でも「おにくをぜんぶたべてもぬけない」すると「きょうりゅうがきました」「でもぬけない」そして「しょうぼうしゃがきました」「やっとかぶはぬけました」・・・。友だちの言葉からイメージを膨らませて言葉をつないで遊ぶ3歳児。こんな楽しいやりとりが更に子どもの心を豊かにしていきます。こんな生き生きとした子どもたちを見ると「育っているなぁ」と感じます。

先日テレビで、「スーパーキッズ」を育てる幼稚園の取り組みが紹介されていました。

園児を飽きさせないため?の分刻みの過密スケジュール。朝礼では2分間の四股:しこ(おすもうさんのドスコイ)を全員で踏んで、体のバランスを養うとか。連続逆上がりもやってのけます。漢字を読んだり、四字熟語や百人一首や九九を覚えます。ほとんどの子が卒園の時にIQ120という信じられない幼児教育。こんなに目に見える「できた」を見せつけられると誰もが「すごい」と感じてしまうのは仕方がないのかもしれません。アナウンサーも「こんな幼稚園は人気があってなかなか入れないでしょうね」のコメント・・・。

目に見える「できた」の陰に子どもたちのどんな心が動いているのでしょうか。何かに夢中になっていく事で育つ探求心や想像力や思いやりの育ちはどこで保障されるのでしょうか。大人から課題を与えられる日々の中で自ら考える力はいつ育つのでしょうか・・・。

何が子どもにとっていいのかは、一般の人にはとてもわかりにくいことを痛感します。

「読み書き計算」などの認知能力は伝統的な日本の教育ですが、それは、意慾・思いやり・自制心・忍耐力・自尊心といった非認知能力の基礎が大変重要だということが言われています。幼児期にこそ育てたいもの。せんりひじりはこれからもその非認知能力を伸ばす豊かな保育をしていきたいと思います。

お話作りの後・・・大きなかぶを持ってきて「おおきなかぶごっこ」をやったくま組のスーパーキッズたち。結局、かぶの取り合いになってぐちゃぐちゃで終わったそうです(笑)。大人の想像を超えた(枠にはまらない)自由さがステキ。